前回に引き続きオーダーのジャズベースタイプ製作、木工ボディ編です。
ジャズベースのボディ加工は非常にシンプルです。
今回はアクティブタイプなのでボディ裏からザグリがありますが、本家はトップ面の4箇所のザグリ(ネックポケット、ピックアップ×2、コントロール部分)のみです。
これに外周加工、トップバックのコンター加工、R加工、ネックセットビスの下穴加工を済ませれば、ジャズベースの形です。こんなシンプルな構造であんな素晴らしい音色ですからすごいです。
というわけであっという間にアルダーの板材から写真の状態まで進んでしまいます。
おかげで途中工程の写真を撮り忘れました!笑
ここからはハンドメイドの見せ所。魂を込めてデティールを仕上げていきます。
ボディのトップ面とRの境目にラインが入ってしまっていますね。パキっと緊張感のある感じがします。楽器のコンセプトによってはありだと思いますが、フェンダー系には御法度(個人的意見)です。これを徹底的になめらかにして平面からRにかけてヌルっとつながるように研磨していきます。
ジャズベースタイプに限らずフェンダー系の楽器でRの大きいもの(ストラト、プレベ等)はここの仕上げ方でカッコよさが決まるといっても過言ではありません。(いや、過言か!?)
先程の境目がなくなり滑らかに仕上がりました。
因みに今回はサイドにジャックが取りつく関係でRのサイズは9mm(半径9mmの円)です。
本家は0.5インチR(半径13mm弱)なのでもっと真ん丸です。
つまり本家より不利な状況(!?)ですので気を抜けません。全力でヌルっとさせていきます。
ヴィンテージのカッコよさもオマージュしながらも細かいところは機能的にアップデートしていきます。
この写真ではナットの収まる溝にご注目いただきたいのですが、バインディングまで溝が貫通しています。
こうすることで、1弦の外側、4弦の外側のナット材の質量が稼げるのでナットの強度アップになります。
本家はバインディングの間にナットが収まっています。
次はバック面からのザグリです。
敢えてボディのラインとピッタリ沿わないようにしています。
これも強度を稼ぐために行っています。
ザグリとジャック穴が近すぎると木部の強度が落ちてしまいます。
万が一ジャックを刺したままぶつけたりしたときにボディがバキッ、なんてことにならないための対策です。
今回使用するプリアンプに対しては大き目のザグリなのですが、これはウエイトコントロールの意味合いもあります。最近は楽器全体の重さもご指定いただくことも増えてきました。ワンオフならではのポイントですね。
ヴィンテージフェンダーリスペクトなR加工、実践的な機能のアップデートを経て木工加工が完了。
因みにネックグリップはオーナー様が元々お持ちだったジャズベースからトレースし全く同じシェイプになるように仕上げました。
次回は塗装編です!